どうも皆さんこんにちは。
鞍馬ぽめると申します、よろしくお願いいたします。
はじめに
SIer でアジャイルを広めるお仕事をしていると デジタルフォーメーション(DX) 関連の案件にアサインしてもらうことが多いのですが、ぼく個人としてはアジャイルなチームづくりなど組織全体の変革というよりは1チームへの支援としての役割を任されることが多いです
しかし最近は、チームだけでなく少しずつですが組織全体の変革を考える仕事も増えてきており、この機会に改めて DX の全体感を掴んでおきたいと思い、3冊ほどまとめ読みしてみました
今回はその内容について個人の感想ベースでまとめていきます
具体的な内容については実際に書籍をお手にとって読んでみてください
どんな3冊を選んだの?
今回は以下の3冊を読んでみました
- REWIRED は案件でおすすめいただき、評判の良さを耳にしていたので選んでみました
- ソフトウェアファースト は PIVOT を見て共感できる点が多かったため選んでみました
- DX リーダー必修講義 は著者の方の記事を拝読させていただき、より著者の方の考えを知りたいと思い選んでみました
良い記事でした。書籍買います。 https://t.co/KeBuIK4UWN
— kuramapommel (@nullpommel) 2025年1月9日
それぞれの簡単な印象
DX 関連書籍とはいえそれぞれ書きっぷりは異なるので、それぞれに対するおおまかな印象をまとめておこうと思います
REWIRED
「DX の手順書」という印象でした
この書籍には、もはやDXの必要性(Why)はほとんど語られていない【REWIRED: P.002】
と記されている通り、トップダウンに進めていく「何をして、次に何をして、そして何をして」が順に示されている内容でした
図による表現も多く具体的でかつ網羅的なため非常に理解しやすかったのですが、情報量が多いので全て覚えきるのは難しいと思います
必要なときに該当の箇所を再度参照するつもりで、大枠として DX はどのように進めていくのか を知るために読むのが良いと思います
ソフトウェアファースト
REWIRED とは打って変わって、こちらは WHY が多い印象を受けました
私にとってDXとは、ITの中でも最も破壊力のあるソフトウェアを使って、人と組織、事業、そして社会を変革する、ソフトウェアファーストを実現すること【ソフトウェアファースト: P.007】
と記されている通り、ソフトウェアファーストの実現こそが DX であると提言されていますが、 それがなぜなのか、そもそもソフトウェアファーストとは何なのか を全体を通して伝えてくれていました
また、他の2冊と比較して SIer との向き合い方や SIer が今後どうなっていくべきかなど、SIer についての話が濃く書かれていたようにも感じました
DX リーダー必修講義
「アジャイル」「クラウド」「DevOps」「マイクロサービス」「クラウドネイティブ」「プラットフォームエンジニアリング」という6つのキーテクノロジーが、2000年ごろから現在にかけて どのような理由で生まれてきたのか を当時の背景と合わせて語ってくれていました
ソフトウェアエンジニアにとっては親しみのある技術群をソフトウェアエンジニアのバックボーンがない方に伝えているような印象を受けました
プロダクト主体的な組織構造への変革
改めて ドメインベースのアプローチで事業(プロダクト)主体の組織構造にしていく ことが大切だと理解しました
正しいアプローチは、ビジネスの中でいくつかの重要かつ自己完結型のドメインを特定し、それらを完全に見直すことである【REWIRED: P.036】
REWIRED ではこのように、組織変革を自己完結型のドメインベースでアプローチすることが正しいと述べられています
事業(プロダクト)にかかわるすべての職種が1つのグループになるように組成されます【ソフトウェアファースト: P.278】
ぼくは前職がゲーム会社(音楽会社の社内スタートアップ)だったのですが、組織の構造はゲーム(プロダクト)ごとに別れており、それぞれのプロダクト事でプロデューサやディレクター、ソフトウェアエンジニアやデザイナーなどを抱えていたのでこの考え方にはとても共感できました
また、ソフトウェアファーストと DX リーダー必修講義の両方にチームトポロジーの話も出てきていました
REWIRED には似たような構造として「アジャイル・オペレーティング・モデル」が紹介されていました
図表3-2.1 アジャイル・オペレーティング・モデルの構成要素【REWIRED: P.153】
まだまだプロジェクトベースな組織構造が多いのが実態だとは思いますが、ドメインベースな組織づくりをしていくことは欠かせないことだと改めて認識しました
内製化を前提としている
競争優位を築くうえで中核となるデジタルケイパビリティをアウトソースしないように注意すべきである。(中略)中長期的な視点では、価値創造の土台となるケイパビリティを社内に保持することが極めて重要である。【REWIRED: P.067】
ソフトウェアファーストの根幹をなす「ソフトウェア技術の手の内化」は必ずしも内製開発を意味しませんが、手の内化を進めると必然的に内製化比率は高くなります。従って、内製開発を基本方針とし、内製開発ができない場合やすでに開発を外部委託している場合などの対策を考えると良いでしょう。【ソフトウェアファースト: P.205】
REWIRED でもソフトウェアファーストでもこのように 内製化を前提として考えるべき であると述べられています
企業内プラットフォームが企業としての内製化にとって効果を生むポイントがある。【DX リーダー必修講義: P.205】
また、DX リーダー必修講義では明確に内製化が必要であるとは語られてはいませんが、このように、むしろ言うまでもなく前提としたうえで企業内プラットフォームの構築を勧めているように読み取れました
ちなみに、非ソフトウェア企業がエンジニアを直接雇うということについて、「開発がない時期は無駄な人件費になってしまうのではないか」 という意見をぼく自身も聞いたことがあるのですが、ソフトウェアファーストでは下記のように答えられていました
雇用したエンジニアのやることがなくなってしまうのかもしれないという心配は全く無用です。もしあなたの会社がソフトウェアを使って新しい事業をスタートしたり、既存事業を大きく進化させたりしたならば、ソフトウェアエンジニアがやるべき仕事は次から次へと出てくるでしょう。現代のプロダクト開発は作ったら終わりというものではなく、継続的な改善によってサービスの質を高めていかなければならないからです。【ソフトウェアファースト: P.212】
これはぼくも同じ意見です
デジタルをビジネスのコアとした企業では、むしろソフトウェア開発の仕事が増えていくはず ですし、それはどんどん加速していくはずです
内製化しやすいフロントアプリからはじめ、その領域を徐々に広げていくようなイメージになるでしょう
SIer はどうなっていくか
SIerの事業構造は製品販売とサービスのハイブリッド型になっていると書きましたが、日本のSIerはサービス依存の傾向が強すぎるので、製品販売の比率を増やしていくのも1つの手でしょう。その上で、提供した製品に付随するサービスを手厚くして利益を上げるのです。これを筆者は2階建てモデルと呼んでいます。【ソフトウェアファースト: P.303】
自社製品を持ちつつ開発導入支援も行っている AWS や SAP などがまさにこのビジネスモデル だと思いました
例えばモノをつくるときに、すべてを自分たちでつくらなかったとしても、部品を調達し加工し販売するというのが一般的ですが、これをソフトウェアに例えるといわゆる部品に該当するものは OSS や SaaS でしょう
まさに 部品メーカー(サプライヤー)のような存在になっていく ことが、この2階建てモデルの話だと思います
人月商売で稼ぐのではなく、部品を仕入れて加工し付加価値をつけた部品として販売するという構造はとても健全な考え方だと思いますし、ぼくは 「だれかにとってのサブドメインは、だれかにとってのコアドメイン」 だと思っているのでとても共感しました
まとめ
こんな薄い内容ではなくてどの書籍も本当はもっと充実した内容でしたので、ぜひお手にとって読んでみてください
おすすめの読む順番としては以下のとおりです
- ソフトウェアファースト
- REWIRED
- DX リーダー必修講義
ソフトウェアファーストで WHY と WHAT を理解し、REWIRED を読みながら実践し、途中「この技術ってなんで必要なんだっけ?」と思ったときに DX リーダー必修講義で背景を捉えにいくというのが個人的におすすめです
ちなみに、 今の自分にとって最も役に立ったものは REWIRED でした
冒頭で「組織全体の変革を考える仕事も増えてきており」と書きましたが、やはり具体的な進め方を示してくれているのはとても助かります
ぼくは今後、非ソフトウェア企業の内製化をさらに進めていきたいと考えています(その理由はまた後日どこかで)
日本における情報処理・通信に携わる人材がIT企業、IT企業以外に所属する割合は2020年が73.6%対26.4%である。(中略)米国における情報処理・通信に携わる人材がIT企業、IT企業以外に所属する割合は、35.1%対64.9%である。【DX白書2023: P.192】
DX 白書にもあるように、日本における非 IT 企業の IT 人材採用比率は米国と比べてまだまだ低いです
個人的には五分五分くらいには持っていきたいと考えているので、引き続きお仕事頑張っていきたいと思います






